Mozilla

2010 年版 Mozilla 年次報告書

チャンスと課題

サンフランシスコ市内に掲出した Firefox の屋外広告

サンフランシスコ市内に掲出した Firefox の屋外広告

今、私たちの生活はこれまでになくオンライン化が進んでいます。これは Mozilla にとって、生活のより多くの面で自由とユーザの主権を確立するチャンスです。同時に、モバイル技術の進歩によって私たちの周りにはいくつかのパラレルワールドができ、それぞれを別の巨大民間組織が支配するという図式になっています。

このような脅威は以前にもありました。Mozilla はそのような環境の中で、前途有望で可能性に満ちたオンラインの世界に対応するために生まれたのです。しかしその後、少数の巨大企業によって、消費者の選択肢、相互運用性、さらには Web 全体の健全性が妨げられるという脅威にさらされました。その時、私たちは一致団結してその課題に立ち向かって勝利したのですが、この新たな時代に再び、そうした課題に立ち向かわなければならなくなっています。

競争が激化する世界

Firefox は、ブラウザがいかに重要なものであるかを実証しました。今では他のベンダーもこの市場に参入しています。競争は良いことです。競争があるからこそ、誰もが全力を尽くそうとするからです。ただし、Web ブラウザを開発する理由は企業によって大きく異なるということを憶えておくことが重要です。Mozilla は、個人の体験と Web 全体の利益のみを重視した独立のブラウザを提供するため Firefox を開発しているという点に独自性があります。

“Mozilla は、個人の体験と Web 全体の利益のみを重視した独立のブラウザを提供するため Firefox を開発しているという点に独自性があります。”

Mozilla はこの分野で競争力を維持していくために、様々な活動を進めています。

まず、Firefox の改良です。以前 Mozilla は新機能の提供に 18 か月ほどかけていましたが、製品をより効率的に更新していくために、今年になって 6 週間のリリースサイクルへ移行しました。現在は、革新的な Web 技術を、毎年ではなく数週間ごとに提供できるようになっています。CSS アニメーション、Web Socket、ティアオフアニメーション、WebGL などの新技術を、数億人ものユーザに記録的な短期間で提供しています。この新しいスケジュールが誰にとっても都合が良いものにするためには、まだ解決しなければならないことがあります。しかし、プロセスの変更によって今後 10 年間に良い結果をもたらすという大きな課題は克服しました。

Firefox を祝って

Firefox を祝って

Mozilla では、従来のデスクトップ OS に加えて Android を最重要プラットフォームのひとつとして位置付けています。この重要な変更は、Mozilla の使命が Web の次の段階へと拡大していることをさらに印象付けることとなりました。こうした新しい状況の中で、Firefox は単にデスクトップのブラウザというだけではなく、ユーザがどのデバイスを使っていても、自分の体験の重要な部分を一貫性のある方法でコントロールできる、信頼性の高い環境へと進化しています。

人々が自分の Web 体験を自分でコントロールできるようにするための継続的な取り組みの一環として、Mozilla は Firefox のデスクトップ版と Android 版の両方に Do Not Track (行動追跡の拒否) 機能を搭載しました。業界各社はすぐこの動きに追従し、Apple と Microsoft がそれぞれ同様の機能を自社ブラウザに実装しました。 米国連邦取引委員会は Do Not Track に正式対応し、欧州委員会の副委員長も 2012 年までに Do Not Track を採用するよう指示しました。Mozilla はこの分野での取り組みを今後もさらに進めていきます。また、ユーザの擁護者としての活動を続け、オンラインでの個人情報の収集方法を透明化して、ユーザが自分でコントロールできる新しい方法を探っていきます。

Firefox は現在もこれからも、オープン性、透明性、相互運用性という Mozilla の重要な価値によって Web を推進し、進化させるための基本的な手段であり続けます。

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Web 機能の向上

Mozilla は長年にわたり、Web の機能向上と多機能化を進めて魅力的なプラットフォームにするための活動に、最前線で取り組んできました。現在もこのリーダーシップを維持しています。

個人認証

現在の Web には、Web 上で広くアクセスできて集中管理されていない、カスタマイズされた 個人認証 を扱うための、オープンソースで標準技術に基づくプラットフォームが必要です。Mozilla はその構築に着手し、第一歩として BrowserID プロジェクトを立ち上げました。BrowserID は、安全性、分散型、オープンソース、クロスブラウザ対応を特徴とする認証方式であり、ユーザは自分のメールアドレスを使って様々な Web サイトにログインできます。

アプリケーション

アプリケーション は、インターネットと情報をやり取りする新しい便利な手段です。しかし、Web のすばらしさを活用するための 多くの機能 が欠けています。 Mozilla が提唱するオープンアプリケーションエコシステムは、ユーザが自分の持っているアプリケーションを様々なプラットフォームやデバイス上で使えるようにします。Web 上で別々のサイトが提供する連絡先リストやソーシャルグラフを結び付け、ユーザが Web 上で他のコンテンツを探す場合と同様に、オープンで柔軟な方法でアプリケーションを探せるようにします。

教育

Mozilla の教育プログラムは、新世代の Web 開発者たちにひらめきをもたらす内容となっています。School of Webcraft では、学習者同士の共同作業、コミュニティ、指導を通じて、オープンな Web 開発のスキルを習得できます。Mozilla Hackasaurus では、青少年が Web 技術と Web 開発の基礎について学びます。また、Open Badges プロジェクトを通じて、オンライン学習の成果を認定する新しい方法の開発も進めています。

メディア

Mozilla は、オンラインメディアにオープン性と革新をもたらすプログラムやツールを応援しています。映画会社や Web 開発者が参加するオープンなビデオラボ、Web Made Movies はそのひとつです。また、Knight Foundation との提携により、Web 上で活躍するイノベーターやジャーナリスト、評価の高い報道機関などを集めて ジャーナリズムの革新 を進めています。Universal SubtitlesOpen Video AllianceBay Area Video Coalition などのプロジェクトも支援しています。

WebFWD

パリで開催された ReMo ワークウィーク

パリで開催された ReMo ワークウィーク

WebFWD (Web Forward) は、Mozilla のインキュベータープログラムです。次の優れた進歩を Web へもたらす開発者や革新者たちのグループである WebFWD フェローを Mozilla が集め、Mozilla のオフィス内に場所を用意して技術分野の多くのリーダーから密接な指導を受ける機会を設けるとともに、Web の向上に役立つ世界有数のリソースも提供します。

Boot to Gecko

Mozilla は先ごろ Boot to Gecko を発表しました。これは Web の基盤となっているプラットフォームをモバイル端末にも採り入れようという取り組みです。このプロジェクトが目指しているのは、オープンな Web 技術に基づく完全なスタンドアロンの OS を開発し、モバイル端末とデスクトップで使用する未来のアプリケーションのために、より優れた基盤を構築することです。

この他にも、Mozilla のコミュニティをさらに強化する一連の取り組みがあります。それについては次のページで説明します。

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