Microsoft は、Firefox と Chrome に対抗するため、Windows 10 に合わせて Edge を導入し、販売数何百万台という PC に既定のブラウザーとしてプリインストールしました。それでもユーザーの間には浸透せず、Microsoft は、Edge を Chromium ベースのブラウザーとして再ローンチする計画を発表しました (Chromium とは、Google のオープンソースブラウザープロジェクトです)。2020 年 1 月以降、Microsoft の Chromium ベースの Edge は、当初の Edge に置き換わっています。Edge は現在では Google の Chromium で構築されているものの、さまざまな独自機能によって Google Chrome とは別物のブラウザーとなっています。
ここでは、プライバシー、実用性、ポータブル性から Firefox ブラウザー と Chromium ベースの Microsoft Edge を比較し、ユーザーのニーズや好みに合ったブラウザーを理解するためのガイダンスを提供します。

セキュリティとプライバシー
セキュリティとプライバシー | ![]() |
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プライベートブラウジングモード | ||
既定でサードパーティトラッキング Cookie をブロック | ||
暗号通貨マイニングスクリプトをブロック | ||
ソーシャルトラッカーをブロック |
Edge は Windows 10 のプラットフォームに統合され、サンドボックス環境で実行します。つまり、プログラムを分離し、悪意のあるプログラムからコンピューターを守ります。訪問したサイトの評判をスキャンし、疑わしいサイトをブロックする SmartScreen が組み込まれています。Edge では、プライバシー強化のため、パスワードでオンライン認証を行う代わりに、Windows Hello で生体認証 (バイオメトリクス) や暗証番号を使用できます。
Firefox は、ユーザーのセキュリティとプライバシーの保護に自信があります。当社のプライバシーポリシーは、透明性を確保し、わかりやすい表現を心がけています。はっきりと読みやすくするために努力しました。強化型トラッキング防止を既定でオンにしており、2000 以上のトラッカーを自動的にブロックしています。トラッカーとは、複数のインターネットサイトでユーザーの操作を繋ぎ合わせるコードです。こうして情報を複合させて、ユーザーの詳細な人物像を作り上げ、個人に合わせた広告を表示するためだけにプライバシーを損なうものです。
プライバシー保護から、ページが仕込もうとしたトラッカーと Cookie、Firefox がブロックした数を表示します。
Firefox のプライベートブラウジングモードでは、パスワードや Cookie、履歴などのブラウズ情報を自動的に消去し、セッションを閉じた後に痕跡を残しません。一方の Edge は、プライベートモード (「InPrivate」という用語を使用) でも閲覧履歴を記録します。ブラウズしたのが通常のモードでも InPrivate モードでも、比較的簡単に完全な閲覧履歴を復元できてしまいます。
いずれのブラウザーも、データ暗号化の点ではほぼ同等です。ただし、オンラインのプライバシーと透明性を重視するなら、Firefox のほうが優れています。
ユーティリティ
ユーティリティ | ![]() |
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自動再生をブロック | ||
タブブラウジング | ||
ブックマークマネージャー | ||
フォームに自動的に入力 | ||
検索エンジンのオプション | ||
テキスト読み上げ | ||
リーダーモード | ||
スペルチェック | ||
ウェブ拡張機能/アドオン | ||
ブラウザー内スクリーンショットツール |
Firefox は、高速なオープンソースのブラウザーです。ユーザーが自由自在にブラウジング体験をカスタマイズできます。また、Firefox では、さまざまなテーマやツールバー構成を適用して UI をカスタマイズできます。Mozilla のブラウザーはいつでもオープンソースであるため、熱心なデベロッパーたちの支持を集め、アドオンとブラウザー拡張機能の大規模なライブラリができています。
Edge はプロセッサ負荷の高い Chromium プラットフォームに移行したため、特に複数のプログラムを同時に実行しているときなど、動作がやや遅くなる可能性があります。ただし、Chromium プラットフォームにも拡張機能の巨大なライブラリがあるほか、Edge が Chromium に移行する前にはなかった UI カスタマイズの幅も広がっています。
Edge には、タブプレビューのような便利な UI 機能があります。たくさんのタブを開いているときに、目当てのタブを簡単に見つけることができます。もう一つ便利なタブ関連機能として、使用していないものの閉じたくないアクティブなタブを脇に置いておくことができます。
Firefox は、スクロールするタブインターフェイスを採用しています。タブ情報を読める状態に保ち、ファビコンサイズに縮小するのではなく、横にスクロールするようにしています。また、新しいタブを開くたびに、Pocket 機能が関連する記事やコンテンツを表示します。さらに Pocket では、ワンクリックで記事や動画などのコンテンツを保存して、後で見ることもできます。
Firefox と Edge は、どちらも優れた読書モードを備えています。Firefox では、検索バーの小さなアイコンをタップするだけで、不必要な要素をすべて排除し、すっきりとした記事を表示します。Edge では、小さな本のアイコンをクリックすると、きれいで読みやすいページになります。
また、Firefox には、強化型トラッキング防止、内蔵のスクリーンショットツール、大型ファイルの送信などたくさんの便利機能を既定で組み込んでいます。
初期の時点では、Firefox のほうが多くの機能や統合があり、ダウンロードも簡単です。また、両方のブラウザーが膨大な数のアドオンと拡張機能を用意していますが、Edge は Google Chromium のプラットフォームと互換性があるため、数では優位になります。
ポータビリティ
ポータビリティ | ![]() |
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OS 対応 | ||
モバイル OS 対応 | ||
モバイルと同期 | ||
パスワード管理 | ||
プライマリパスワード |
Microsoft は、Internet Explorer がプラットフォームを超えて利用できなかった経験から学び、Edge は iOS、Android、Windows、macOS に対応しており、Linux も追加予定です。
Firefox は長年 iOS、Android、Windows、macOS、Linux をサポートしています。最近のブラウザーに求められる機能として、Firefox は無料のアカウントにログインすることで、パスワードや閲覧履歴、ブックマーク、開いているタブなどのデータを複数のコンピューターやタブレット、スマートフォンでデータを同期できますまた、プラットフォーム間で同期することもできます。
また、Edge では、関連付けられた Microsoft アカウントを接続してサインインし、お気に入りや履歴、パスワードなどをコンピューターと iOS または Android デバイスで同期できます。
全体的な評価
Edge は、Chromium で実行することでリソースの消費量が大きくなっているものの、機能については多くのユーザーのニーズに応えています。ただし、ブラウザーのプライバシー保護については、説明の必要な点が多くあります。当社評価では、ほとんどの人にとっては Firefox が日常使いには適していると考えます。機能性だけでなく、ユーザーデータの収集、収集する具体的な情報、その用途についての透明性が決め手です。インターネットのプライバシーと自由のために活動する非営利法人 Mozilla を母体としているため、ユーザーのデータについては優先するものが異なるのです。
お勧めしたいのは Firefox ですが、ユーザーに合ったブラウザーとは、拡張機能のサポートやブラウザーのカスタマイズ性、スピード、プライバシー、セキュリティといった面でニーズに合ったブラウザーになります。
ここで実施された比較は、初期設定で以下のブラウザーリリースバージョンを使用しています。
Firefox (81) |
Edge (85)
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