オンラインでの安全と安心を守る方法
Mozilla では、インターネットは万人にとって安全で、門戸が開放され、誰もが利用可能な場所であるべきだと考えています。インターネットは選択肢を提供し、またプライバシーを保護することが可能である必要があります。それでは、プライバシーとは何でしょうか。近年では、多くの場合プライバシーという語は、侵害、データ漏えい、企業から企業へと販売される個人情報と関連して語られます。インターネットのユーザーは裏切られ、失望し、プライバシーが保護されているウェブエクスペリエンスを信用しなくなります。その理由は分かります。
しかし、幸いなことに、ユーザーはプライバシーを奪回して、自らのインターネットエクスペリエンスを再び自分でコントロールできます。実際のところ、それは至って手軽です。誰でもそうすることができます。そのために必要とされるのは、このハンドブックを読み、必要なヒントを探し出して実施することだけです。
オンラインでもオフラインでも、リスクはあらゆる物事に存在します。無論、全員がリスクに等しく暴露されているというわけではなく、自分を保護する方法は各人によって異なります。ウェブでは、ブラウジングする方法とブラウジング量、所在地によってリスクは異なります。いずれにせよ、まず対処すべきリスクを理解してから処置を講じる必要があります。以下に、具体的な注意事項を紹介します:
たとえ組織がユーザーのデータを注意して取り扱っていても、データ侵害でメールアドレスやパスワード、さらには、それよりも取扱に注意を要するデータでさえも暴露されてしまうおそれがあります。あるいは、自分のことについて、誤って必要以上に提示してしまう場合もあります。残念ながら、偽のプロフィールを作成するのに詐欺師が必要とするのは、ほんのわずかの個人情報のみです。そうした偽造プロフィールは長期にわたって被害者に危害を及ぼすおそれがあります。
GDPR にしたがってデータの返却や消去を要求することができますが、ウェブサイトはそうした要求に従わない場合があり、ヨーロッパ以外にサービスを提供しない者も同様です。
トラッカーや Cookie については聞いたことがあるでしょう。トラッカーはウェブサイトの小さな要素で、ユーザーの行動を観察・記録します。その目的は、その記録をページの所有者や第三者に渡すことです。数多くのウェブサイトでトラッキングするトラッカーもあります。
トラッキング Cookie は、ウェブサイトの所有者や広告主に、ユーザーのブラウジング時の行動と関心を持った事柄を伝える役割を担い、そうした行動や事柄は、その後ユーザーのウェブエクスペリエンスを個人に合わせてカスタマイズするために使用されます。その結果、多くの場合、ユーザーの関心に合わせてカスタマイズされた広告が表示されます。最終的に、Cookie はユーザーに関する多量の情報を収集し、それをプロフィールに保存します。これは便利だと思われるかも知れませんが、残念ながら、こうしたプロフィールは不正確な場合があります。その結果、最善の場合は多少不適切な広告が表示されます。最悪の場合、ウェブサイトに表示される情報が、ユーザーの必要性や要求に合わないものとなります。また、プロフィールは、例えばそのユーザーに提示される製品やサービスの価格に影響を及ぼす可能性もありますので、注意が必要です。
インターネットで完全に匿名とすることは殆ど許されませんが、それでもオンラインのIDに身を隠すことは簡単です。そのことを利用して他人をいじめたり、挑発したり、暴言を浴びせたりする人も居ます。特にソーシャルネットワークやフォーラムでは、近年それが大問題となっています。ユーザーはインターネットに多くの手がかりを残しますので、こうした状況により、更に不快な結果を招くことがあります。最悪の場合、ユーザーについて見つけた個人情報の量が十分であれば、そのユーザーをオンラインだけでなくオフラインでも追跡することができます。
おすすめニュースは便利です。また実際のところユーザーは皆自分の意見に則したコンテンツを好んで読みます。しかし、そのコンテンツが正確でなかったとしたら、どうなるでしょうか。あるいは、ユーザーに対してごく限られた一部の事実のみが提示され、それが原因でユーザーが事実の全体像を見失ったとしたら、どうなるでしょうか。
自分のセキュリティやプライバシー、オンラインに表示される情報の質を管理することはほとんどできないと感じているユーザーが多数存在します。あなたもそう感じているかもしれません。改善の余地は確かにありますが、ユーザーは面倒くさがって使用可能なツールのごく一部しか使用しないことが頻繁にあります。あるいは便利なオールインワンのソリューションにまかせて、躊躇することなく大量の個人データを単一の企業の手に委ねます。それはなぜでしょうか。それは、ユーザーは絶対的に必要となる以上に配慮したがらないからです。あるいは、代替策が実際いくつあるかを知らないだけかも知れません。
今、データの解毒が必要です。Mozilla は Tactical Tech Collective と共同で実践的なヒントのパッケージ、Data Detox Kit を用意しました。このプログラムにより、ユーザーはオンラインで全く別人に生まれ変わったように感じるでしょう。このプログラムをまだ全面的に実施できない場合は、次に挙げるヒントのうちいずれかから始めるとよいでしょう。(全てでもかまいません)
ブラウザーの閲覧履歴を消去する。ご使用の製品が Firefox Chrome でも、Safari でも、それ以外の製品であっても、この機能はすべての製品に備わっています。この機能は、通常「セキュリティ」の設定メニューか、別のエリアにあります。これが Firefox の場合の対処方法です。
Google のアクティビティ履歴を消去する。アカウントにログインして『マイ アクティビティ』セクションを開き、ページをスクロールしてみてください。ここに保存されている情報量には驚愕するでしょう。これは削除しても全く問題ありません。左側のメニューからクリックして『アクティビティを削除する基準』に移動→日付を『全期間』に変更し、サービスを『すべてのサービス』に変更→『削除』をクリック→ポップアップが表示された場合は『OK』をクリックします。
人間は皆、多かれ少なかれ利便性指向です。その結果、自ら望んで管理力を大幅に放棄することになる場合があります。大々的なデジタルクリーニングを隔週で実施しなければならなくならないよう、あらかじめ大量のデータが収集されないようにしておきましょう。それは考えるほど難しくはありません。簡単な方法のひとつとして、オールインワンソリューションを避ける、という方法があります。そうしたソリューションはユーザーの全貌を把握することが可能です。しかも、全てのユーザーに最適というわけではありません。代替ソリューションを試しましょう。例をいくつか紹介しましょう。
デスクトップPCのブラウザーは自分のお気に入りを選択する方々が多いですが、モバイルデバイスのブラウザーアプリは、ほとんどの方がプリインストールされたものから変更しません。
Firefox Focus をお試しください。このブラウザーは、確認されている Cookie やトラッキングを多数ブロックし、十分に保護された状態でウェブをブラウジング可能な、Mozilla の超高速プライバシー保護ブラウザーです。
DuckDuckGo は、他のプロバイダーとは異なり、ユーザーのプロフィールを作成することも、結果にフィルターを適用することもありませんので、すべてのユーザーの検索結果が同一になります。このエンジンはブラウザーの検索バーで、または拡張機能として使用できます。
Posteo のことを聞いたことがありますか?Posteo はベルリンを拠点とする独立系の電子メールプロバイダーで、継続可能な電子メールサービス、アドレス帳、カレンダーを提供しています。それらのサービスは皆極めて安全性が高く、暗号化され、広告フリーで、ユーザーに対する低価格の月額使用料で運営されています。
デスクトップPCのブラウザーは自分のお気に入りを選択する方々が多いですが、モバイルデバイスのブラウザーアプリは、ほとんどの方がプリインストールされたものから変更しません。
Signal は、iOS や Android、各種コンピューターオペレーティングシステム用の無料で安全な、暗号化機能付きメッセンジャーです。このアプリケーションもオープンソースをサポートし、言論の自由を唱道するファウンデーションが運営しています。
ウェブで知ることができる自分の情報は、ある程度制限することができます。しかし、そうした制限によって自分の危険を回避することはできません。特に悪質な事例として、なりすましがあります。次の各項目について検討する必要があるでしょう。
プライバシーとセキュリティのレベル改善に役立つツールは多数あり、助かります。しかし、アカウントを保護するためには、依然としてパスワードが必要です。たとえば、自分のアパートに玄関の戸が無かったとしたら、最新鋭の高性能防犯システムで自宅を警備できると考えるでしょうか。次に、必要とされる処置を説明します:
パスワードやセキュリティの質問の回答は、どのようにして決め、どのようにして覚えておくことができるでしょうか。コンピューターの側にある紙に記載したりしてはなりません (そうしている人を見かけますが。)その代わりに、パスワードマネージャーを使用しましょう。パスワードマネージャーは、パスワードやセキュリティの質問の回答を安全に保存するだけでなく、無作為なパスワードの生成を支援し、各使用デバイスで手軽にパスワード等を使用することができるものでなければなりません。
市場に出回っている優れたパスワードマネージャーはいくつかあり、暗号化と主パスワードを採用しているものや、生体認証機能 (指紋・顔スキャン) を採用しているものもあります。自分に最も適したものを選びましょう。また、Firefox Lockwise を試してもよいでしょう。全てのパスワードを安全に保存し、モバイルデバイスでも、デスクトップブラウザーでも使用可能ですので、ログイン情報が必要なときに、いつでも使用できます。
強力なパスワードは重要であり、オンラインセキュリティ強化の基本です。安全性を倍増させたい方は、多要素認証 (MFA) を試しましょう。すでに多くのサービスで利用できます。
公共の WiFi は、とくにログインせずに接続できる場合など、便利であることは間違いありません。しかし、それは公共のネットワークが保護されておらず、したがってその安全性が極めて高いとは言えないということです。Mozilla では次の通り推奨しています:
Bluetooth は面倒な有線接続を解消する優れた発明です。しかし、Bluetooth を恒常的に使用する人は殆ど居ません。スマートウォッチなど、スマートフォンと常時接続する必要があるデバイスを所持していない場合は、Bluetooth をオフに切り替えましょう。こうすることにより、バッテリー残量が節約されると同時に、侵入者が悪用するおそれのある弱点がひとつ解消されます。
インターネットでは、HTTP から始まるアドレスを見かけることが珍しくありません。これはブラウザーでウェブページを読み込むことを可能とする、プロトコルというものです。その代わりに、なるべく暗号化された HTTPS を使うように心がけましょう。これは、とくに公共の WiFi を使用する場合に当てはまります。接続自体は暗号化されていませんが、HTTPS はユーザーが送信するデータを確実に暗号化します。
メールアドレスから本人に関して知ることができる事柄は多くありません。しかし、同じアドレスを数多くのサービスやウェブサイトで使用すると、それが手がかりとなってしまいます。メールアドレスは、(ブラウジングやアカウントの) データ各種をつなぐ、オンライン上における本人識別情報の中核となることがあります。目的別に複数のメールアドレスを用意することを検討する必要があるのではないでしょうか。
決して不審なリンクをクリックしてはなりません。これは、言うは易く行うは難しです。ほとんどのウェブユーザーは、一見して自分の銀行やオンラインショップから来たように思われるメールには特に注意する必要があることを知っています。しかし、友人や家族から受け取ったリンクは大丈夫かというと、例外があります。
先だって人間が利便性を好む理由を説明しましたが、覚えているでしょうか。人間は自分の姿勢や希望を正当化する情報だけを確認することを望みます。なぜなら、そうすることが快適と安心をもたらすからです。しかし、それだからといって、その情報が正確であると言えるでしょうか。私たちが見ているのは、全体像でしょうか、それともその一部にすぎないでしょうか。
通常、現在のモバイルデバイスには、デバイスの位置を測定して保存し、共有する機能があります。この機能はナビゲーションや電話を紛失した場合に便利です。しかし、それと同時に、こうした取扱いに極めて注意を要する情報が、本人が望まない場合であっても、アプリにより使用される可能性があります。
メモリを消去して空きをつくらなくてもよいように大容量のスマートフォンを購入したとしても、ときどきメモリのクリーニングをするとよいでしょう。それはなぜでしょうか。
弱点を制限する。デバイスにインストールされたアプリが多ければ、自分のデータにアクセスできる企業等も増えます。それに、常に全体を把握することは不可能です。
スマートフォンの大掃除をしましょう: デバイスにインストールした各アプリを今でも利用しているかを確認し、不要となったもの (とその関連アカウント) を削除しましょう。
アクセスを制限する。また、ソーシャルネットワークも含めて、継続して使用することにしたアプリに与えた許可について再検討し、そのアプリが自分の位置情報や、連絡先、写真、カメラやマイクにアクセスする必要が本当にあるかどうかを検討しましょう。
おすすめニュースは便利です。また実際のところユーザーは皆自分の意見に則したコンテンツを好んで読みます。しかし、そのコンテンツが正確でなかったとしたら、どうなるでしょうか。あるいは、ユーザーに対してごく限られた一部の事実のみが提示され、それが原因でユーザーが事実の全体像を見失ったとしたら、どうなるでしょうか。
Firefox はファーストパーティートラッカーとサードパーティートラッカー、トラッキング Cookie を区別します。ファーストパーティートラッカーはニュースサイト等で使用されます。ファーストパーティートラッカーの役割は、サイトに訪問した読者が新規読者か常連の読者かを認識したり、その読者がどの記事を読み、各ページを表示した時間などを確認することです。サイトは、この情報を使用してサービスの質を向上させ、リーダーの好みを判断します。
しかるに、サードパーティートラッカーは、たとえばターゲット広告を表示するため等のために、訪問者のウェブサイト訪問をすべて記録します。サードパーティートラッカーは、訪問する複数のサイトで機能します。さらに、1 サイトに存在するトラッカーは通常ひとつだけではありません。サードパーティートラッカーは、他のサードパーティートラッカーと協力して機能し、広告により訪問者を納得させて出費させたり、サービスにサインアップさせたりし、その訪問者のさらなる情報を共有します。
この情報が極めて貴重であることは想像できるでしょう。この情報を保有する企業がそれを販売して大規模な収益を上げているのは、このためです。訪問者はこうした判断に全く関与しません。そのため、Firefox は数多くのサードパーティートラッカーを既定の設定でブロックしてユーザーによるオンラインエクスペリエンスのコントロールを奪回し、広告やいかがわしい企業にウェブで追跡される可能性を低減しています。
ご質問やご意見がある方は、ぜひご遠慮なく Mozilla までご連絡ください。